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【ぼくの県展回顧録】 第31回 昭和52年(1977)高知県展              NO.7

展示作品の1割を占める好成績  特選全て組写真

 写真評論家渡辺勉氏は、相性の善し悪しは別として、ぼくの好みの審査員であった。正確には第21回展にも来ているので4回目だが、ぼくにとっては三度目の審査を受けるということで燃えるものがあった。写真作家でないところに魅力を感じていた。新しいものをぶっつけていけば反応してくれるような、挑戦し甲斐のある大きな懐の審査員だと評価していた。当時のぼくらの意欲十分な姿勢は、クラブ員の年間を通じての活躍にも現れていた。
 この年の3月催された「県展代表作家展」は、過去において特選、褒状の入賞者と無鑑査だけが参加できるものだった。『犬』田原、『父』岩崎、『金曜日—あるへき地校の記録』明石、『家路』浜田、『空間』真部、『孫の散歩道』矢野、『散歩』吉田、全員出品を果たした。
 『高新の写コン』も、前年同様、例会後応募袋に毎月入れて発送、結果は特選が2点、入選が7点、佳作多数で我がフォトクラブの存在をアピールできた。高知県写真家協会による『土佐展』では、御田祭りを取材した7人の合作で展示し、その後全作品を神社に奉納した。(本殿が火災で消失するまで、8時間ほどの祭りの進行順が正面に揚げられていた)
 6月、日報連の企画でニューカレドニア旅行に参加した上森、真部、岩崎で毎日新聞地方版に文章入りのシリーズ連載で紹介してもらった。 そしてこの年の締めとなる県展では、褒状2点を含む21点の作品が選ばれた。それは、一クラブで会場の十分の一を占める成績となっていた。 ちなみに応募点数をあげると1473点、うち組写真は200点を越していた。渡辺審査員が組写真奨励派なのを当て込んでの応募のようにもみえた。その予想通り、特選に選ばれたのは、すべて組写真という結果だった。
 谷田昌水氏の『田園写真展』2枚組。高南台地の田園をバックに催された写真展。「変な芸術意識を持たず、現実に関心を持って写真展そのものを撮る姿がよい。その意味で報道写真的作品、簡潔に2枚で組んでいるのも印象を強めている。」(審査評)
 入野春三氏の『陽春』3枚組。25回展に次ぐ2度目の特選。「主観的なイメージでありながら撮影は一方的でなく、対象も大切にしており、ナイーブでのどかな陽春の雰囲気が出ている。感覚的にも新しい表現だ。」(審査評)
 山本啓正氏の『夏の記念写真』カラーの56枚組。「一人一人表情豊かな裸の幼児を同じ視点で繰り返し見つめている。一枚一枚の写真も丁寧に写しているが、それが集まって大きなイメージの膨らみがある。(中略)子供を通じて人間を語っている。」(審査評)
 総評に「写真は生活の一部である。極端に言えば、日誌をつけるようにカメラを使う姿勢が必要だ。生活や人生を切り離して作品はあり得ない。」

仕事から生まれた組写真

県展入選入賞作品(21点)を展示 ぼくの褒状入賞作品『記念撮影の日』は、山本氏のいわゆる下駄箱式という組み方の類いであった。下駄箱式を説明しておくと、学校の履き物入れを思い浮かべてもらえれば想像がつくはず、たくさんの同じ升のなかに、似たようなものが入っていて、その一見単調な繰り返しが日常を表すとか、人間の内面を如実に物語っているとか、飾り気のない真実の姿であるだとか、まあそんなふうに解釈できる奥深さを表現しているというもの。
 ぼくのはといえば、保育所で記念写真撮影後、「ハイ、おわったよ」と声をかけ、幼児たちの緊張が解けた一瞬をモノクロで捉えたものだ。4ツ切り集合写真を8枚、全倍のパネルに張り合わせたものだ。まさか入賞するとは思いもしなかったものだから、予想外の喜びを味わったことだ。と言いながら、ヤマを張って作り上げた当て込みの作品であったことも事実だ。この年どんな写真を本命にして出品したかは、もはや記憶にない。そしてもう1点のぼくの入選作品は『入魂』。仕事場の父の姿につけたタイトルだった。これも25回展の二番煎じだから本命とはいえない。

第31回 入選 「入魂」(父・片木新吾)1977年

 県展終了後、撮影に協力してくれた“さくら保育所”に寄贈はしたものの、現在どうなっているものやらまったく分からない。展示する作品は今回リメイクしたものだ。
 褒状のもう一点は、前田秀一の『5丁目1−23番地』目先の変わった荒削りな表現ではあったが、注目すべき存在であった。


残り入選の18点は次のとおり
まず2点入選者から、
吉田『雪景色』・『古都寸描』。いずれも、清潔感、透明感のある3枚の組写真だった。
田原『涼風』・『群像』。猪野『ダンス』・『休日』。三木『余生』。
上森『ベンチ』。たしか、ニューカレドニアで撮った白いベンチだったと思う。
吉永『雨が来た』。赴任した吉川小学校の職員室かの窓から、にわか雨の中を駈けてくる子供を撮ったものだった。
高橋『山門』。尾田『友達』。矢野『祭りが始まる』。真部『忘れられた季節』。浜田『木枯らしの日』。小川『ゆめ』。寺村『雪の朝』。明石『町はずれ』。新田『風と波と少女と』。


 今も残る出品目録へのぼくのメモによると、展示作品210点のうちなんと全倍サイズが160点もあり、作品の大型化が目立っている。52点は組写真、カラー作品はまだ26点、特徴は褒状20点のうち8点がやはり組写真だったということだ。