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【ぼくの県展回顧録】 第38回 昭和59年(1984)高知県展              NO.14

『男そして女』で連続特選  特選宣言が現実になる

毎年11月、野市の青少年センターで、香美郡下のお年寄りが集まって運動会をしている。「是非、写真を撮っちゃって」の依頼が町福祉課からあって出かける。仕事半分で趣味の方に力が入っていた。「良い記念になる写真を撮ってあげよう」の心掛けだけは忘れない。頼まれただけの仕事だと、事務的に味気無いばかりか、内容に遊び心が加わらない。いつものようにぼくは楽しみながら撮らせていただく。見返りは作品だ、岩崎勇が撮ったんだという、ぼくらしい人間性が表れた写真になっていたら成功だ。実はそれ以上にぼくが果たさなければならない決意が今年にかかっていた。「ああ外国の写真か。外国へいきゃあ、だれでも良い写真が撮れらあや」と一昨年『散髪』(上海)を見ながら値踏みを渋った人がいた。選ばれた権威を引きずり降ろすような言葉に聞こえた。それが無鑑査の人の言葉だっただけにつらく聞こえた。「ならば身近かで傑作を生み出し、その鼻を明かにしてやるわい」とバネにした。
思いが通じた天の采配、報道写真家三木淳審査員の目に叶ったから舞い上がった。「カメラ雑誌などで影響をうけた、柳の下のドジョウを狙うのはやめた方がよい。身の回りにもある社会性をもったものに目を向けるように」その良い例としてぼくの作品を選んでいただけたようで、過分な褒め言葉がいただけたと総評で感じとれた。
 半切にプリントし、2枚を合わせてパネルに仕上げたとき、これで効果的な表現に到達したと思った。四ツ切りサイズ2枚突き合わせて眺めて見るのとは全く異なった良さが見えてきた。特選作品『男そして女』の誕生だった。
 願望を込めた思いももちろんあったが、搬入前からぼくは強気になっていた。「これで特選を貰うぜ」と口走っていたのだ。
 毎月発売される高知新聞の『写コン』で、写真愛好の同志、ライバルの動向を見ていた。上田正治先生と松山でしかしこんな作品で勝負できるのは見当たらない。ぼく一人だという自負が自信となって言わせたものだ。そして見事に望みが達成した。それでも10点の作品をぼくは投入していた。本命の予測が外れたら別のブロックから、それでも駄目なら次の3点ブロックから選んで貰おうと、3つほどの作品群にまとめて審査員を攻め落とそうと言うわけだ。どんな審査員であろうとも、外れのない、泣きをみないぼくの戦法がこれだった。
 搬入を間近に控え、わが家に作品を持ち寄り下見会というのをやる。残されたラストチャンスだ。タイトルの確認、練り直し、抜かりはないかスポッチング、これで良いのか出品順。もう事ここに及んで、作品の良し悪しの段階ではない。審査員の選択眼に食い込む効果的な見せ方を考えようというものだ。


褒状入賞は、女性軍の感性が花開き岩崎定子『案山子』。
松尾達恵『’84少年気質』高校の教え子たちのからりとした群像図。佐竹けい子『カムフラージュ』。野村節子『窓』以上4名。
それでも男性の面目で、吉田満『女』。佐竹博『ボス』。
入選作品は以下の通り。
岩崎昭雄『昼下がり』。尾立和之『瞳』。都築和郎『朝潮』。野中要佐『じれったいなあ』。門田博道『祭の宵』。吉本元『急げ、遅れるな』。明石良和『供え物をもつ少女』。明石正『路傍』。森本健児『漁場』。故公文幸廣『石鎚へ』。門脇悟『語らい』。嶋内将豊『火渡り』。小松裕『筏下り』。服部徳子『雨上がり』。山崎義章『マイカー時代』。吉川和徳『洋介君』。


 出品者数451人(130人が30代)。搬入総数2000点(カラー1183点)。41人が女性出品者というのも注目もの。入賞入選数ではカラーが109点選ばれておりモノクロをわずかに上回った。


 県女流展は、第4回目を迎えていたが、ちょうど県展に出品した人数が女流展にも応募しているといった時代であった。洋画や書道や工芸などと違って、まだ女性の写真人口が50人にも満たない頃だ。世代もぐっと若い育ち盛りだった。


 植田正治先生で朝日フォトシンポジウムが松山市の開催される、を聞きつけフォトクラブしばてんからも希望者を募り一行で参加。先生との懐かしい再会を果たす。そして昆明と桂林へご一緒しますの約束をしたのが、その後体調を崩され、先生との3度目の旅は果たせず、団長を変えて出発した。


 ネパールから青年インドラマン(18歳)がやって来て、ぼくのスタジオ、婚礼など手伝い写真修業をした。ネパールへの関心深まる。いつの日にかインドラの古里をたずねてみよう。

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第38回 特選 「男そして女」2枚組 野市町 青少年センター 1984年