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【ぼくの県展回顧録】 第37回 昭和58年(1983)高知県展              NO.13

フィッシュグループ フォトクラブしばてん初挑戦
〜今年から一人1点入賞となる〜

昨年の海外取材『灼熱のシルクロード』で得た作品を半年がかりで70点にまとめ、3人展を開催した。2月から3月にかけて土佐山田町内公民館で、8月には高知市中央公民館でご覧いただいた。今回の目玉作品は横幅2m×縦1m超特大のパネル仕上げの2作品。火焔山の麓から砂塵を巻き上げて忽然と現れた驢馬車と地表熱70度にまで達した砂漠を突き切った一条の黒いアスファルトロード。(反省)パネル仕上げが自前技術でうまくいかず皺を掴んでいた。是非にと購入してくれた企業があり、今もなお感謝の気持ち不変。7月2日付け高知新聞学芸欄『県展作家』高知大学シリーズに、兄片木太郎と取材を受けて載る。兄弟でアーティストとしての扱いを受けた取材はこれが最初で最後のこととなった。シルクロード男三人「昨年、写真の部で待望の特選を仕留めた」と前置き、「外国へも撮影旅行に出るなどの行動派。幼いころ養子に行き、姓は変わったが時折、兄のアトリエを訪れ、お互い美術談義に花を咲かせる」と好意的に書いてくれていて、『ゆっくり旅行でもして絵と写真を組み合わせた二人展を開くのが夢です』というぼくの言葉を締めにしてくれていた。その後兄が亡くなって、奇しき縁で窪川町に実現するが。県展賞は逃したが、ぼくには新しい財産ができた。フレッシュグループ フォトクラブしばてんが昨年結成され満1歳のこの年、7名もの入選者を出したことだ。もちろん初入選ばかり、新風を確実に吹き込んだ感は否めない。褒状には門田博道『風景』。米沢正『薄化粧』。個展会場を訪れた同窓生
入選は岩崎定子『日本の夏』。佐竹けい子『記憶』。別府(野村)節子『黙泣』。前田日出男『顔甲』。岡村政則『シャワー』。公文幸広『檻の中』。寺村一雄『たきび』。門脇悟『老婆』。野中要佐『潔斎』。明石正『雷鳴』。嶋内将豊『ランナー』。吉田満『老女九十八才』。野村高志『母子想』。吉川和徳『釣場の光景』。佐竹博『夏の少年Ⅰ』。田村泰章『窓』。審査員は奈良原一高氏。「テレビや写真で、時代の日常のおおよそを見聞している。そこでカメラマンにいま要求されるのは、限られた対象物を、どういう心の動きで、ファインダーを通してみるか、これに尽きる。新鮮な切り口の写真が生まれてくる。独自の世界観で・・・」昭和58年7月2日 高知新聞
 勢い込んで焼き上げたぼくの推薦作品『白日夢』も、見事これでは通用しない。前浜の渚で調教後、馬を休めている昼時、魚眼レンズのそれを、ソラリゼーションというテクニックでねじ伏せようとした。もってのほかだ、以下の特選を見れば、異論はなく納得のいくものだった。
 今回は特選推薦の中からさらに選び出された県展大賞があった。『ボク関係ない』は恒石晃志氏の秀作。空襲展を見る父と母、父親の背中におぶさった子供はあどけなくこちらを見つめている。焼け跡の記録写真はこの子とは関係ない世界を繰り広げている。評には「ありきたりの風景を切り取ることで、日常的なものと高知市の過去がオーバーラップし、別の映像の世界になった。出色の出来だ」とある。
 池昌晃氏の『シケの港』は「シュールで力強い。蛇口と合わせた海は心の波風をも想像させ、心理的な出来栄えは県展賞に劣らない」と誉め上げている。ぼくも異論のない、見事な作品だった。
 浜口俊一氏『部屋』は不思議な世界だった。ぶら下がった襟元から下のスーツとマネキンとも実在の人間ともつかぬ太ももの辺りの座像。いつも丁寧な仕上げをする作家として注目していただけに、斬新なモチーフとフレーミング、その若さに驚かされ忘れられないでいる。


搬入者数586人(144人が30代)。作品総数2127点(カラー1095点)展示作品227点中132点がカラー作品。

第37回 推薦「白日夢」南国市 前浜 1983年