印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


〒782-0031 高知県香美市土佐山田町東本町5-3-26
TEL/FAX : 0887-53-4034

HOME > 我が県展・35年の歩み

岩崎 勇 写真集 『我が県展・35年の歩み』

第25回から第59回県展へ

□ 岩崎勇写真集へのオマージュ   伊丹 三樹彦


 岩崎勇と僕は、馬が合った。彼は写真家、僕は俳人。本業は違うのに、彼の方から近付いた。僕が俳句だけでなく、写真に精を出したからだろう。結果、僕は第一写俳集『隣人ASIAN』を出した。勇がこれを注目したのが出会いの動機ではなかったか。この本では、わが写真の師岩宮武二に、初めて写真と俳句とを共に誉められたが、実は有野永霧がモノクロの焼付と編集を兼ねたもの。
 とまれ、勇は俳誌「青玄」にも参加した。が、俳句を余り出さぬひと。なのに、「青玄」の各種大会に参加し、記念写真、集合写真の数々を撮ってくれた。「青玄」は阪神間に発行所があるので、高知県暮しの彼には相当な負担であったに違いない。にも拘らず、参加してくれたのは、青玄人に圧倒的人気があったからだ。僕の『隣人有彩』『隣人洋島』など、続く隣人シリーズと彼の隣人愛が呼応したことは間違いない。実際、勇は相手の懐にとび込んで撮る。特に、行を共にした海外取材の場合、際立っていた。インドやネパールへ行った。インドネシアや中国へも行った。いつの場合も、僕の前後から撮る彼の姿があった。言語が通じなくとも、ボディアクションは通じる。この人はいい人だ、と相手が思ってくれれば、占めたものだ。そういう良ろしさや、優しさを、彼は持ち合せている。写真の上手い人は世に多いが、技術と精魂が兼備している点で、勇は抜きん出ている。
 撮り手の表情は、相手に反映する。彼の撮った写真の数々を見るがいい。この写真集を膝上で眺めるがいい。むろん、対象は人物に限らず、風景、行事、物体、すべてに及んでいる。特に高知県(土佐の国)の被写体に関しては、余人の追随を許さない。然も、撮影や個展にとどまらず、指導力にも秀でている。門下生は全県にまたがり、各展の入賞入選者が続出している。写真会では異例だ。加えて写俳運動にも積極的だ。学生時代から興味があったという、人間と風景、写真と俳句を愛する岩崎勇は、伊丹三樹彦以上だ。個展活動もいいが、残るのは本だ。過去にもらしき本は出て居るが、一番期待できるのがこの本だと信じる。 おお、わが友よ。写真集の文鎮は、四国らしく独鈷と柑橘だ。栞は四万十川の芦や葭とするか。                                                      2005年 盛夏

□ 我が県展・35年の歩み  岩崎 勇


 まだまだ人生を回顧するほど老け込んではいないけれど、切りの良いところで、一度県展を振り返ってみたかった。個展ならベストだが、いずれの形にしろ作品発表ができて、写真集にして過去をたどることはしてみたいと思っていた。幸い、地元土佐山田町立美術館が、ぼくの個展のチャンスを与えて下さった。ありがたくこれを受けるとともに、この際、写真集も自費出版しようと決心した。
 正確には高知県美術展覧会だが、略して高知県展と称び親しんできた。戦後60年の今年は第59回目の開催を迎える。そこでまず、ぼくの県展初挑戦の思い出を記す短い記録を紹介する。
 「写真仲間もなく、まだ四ツ切りサイズも満足にプリントできないモノクロ全盛時代、苦労してやっと全紙に焼き上げた4点を抱いて、一人で搬入した県展初挑戦は第25回展であった。大ベテラン達の全倍サイズの大作が犇めく中で、予期せぬ褒状を故林忠彦審査員からいただいた。私の県展レースのスタートであった。」(第46回県展目録『県展の思い出』から)
 その初挑戦から35年の歳月がもう過ぎようとしている。初めて郷土文化会館の壁面に銀のラベルの付いた作品が展示されて、どれだけ金ラベルを待ち望んだことか。入選と褒状を繰り返し12年、第36回でやっと特選のスポットライトを浴びることができた。その後は幸運にも38回、40回と連続特選で無鑑査の仲間入りをすることができた。当時はその渦中にあり、必死だったことで当然のようにも思えたし、また不思議なツキを神様がぼくに与えてくれたものだと思ったりもした。その後、冷静に当時を振り返るにつけても、ぼくを押し上げてくれたいろんな力の働きかけが大きかったのだろうとしか、分析のしようがない。ぼくの個人の県展挑戦は終わっているが、写真仲間たちとの県展に賭ける夢や情熱は熱しこそすれ衰えることはない。我が県展は新しい歴史をこれからも刻み続ける筈である。
 この写真集を、ぼくと共に歩いてくれた素晴らしい写真仲間たちに感謝し、贈りたい。皆さんのお陰で毎年変わる事なく参加する楽しさを味わえたし、落ち込みも苦しさも和らげられたし、入選入賞の喜びを大きく分かち合うことができた。たくさんの写友あってのぼくの写真人生だったし、その核に常に県展はあったといえる。夢半ばにして挫けた友もいて、頂点に上り詰めずに逝った友もいる。声援を送ってくれた優しい先輩がいて、競争に値するよきライバルがいた。
 この序稿の最後になりましたが、本書を編むに当たり、身に余る言葉をお贈り下さった伊丹三樹彦先生に心からお礼を申し上げます。先生とはこの6月末、直島、琴平、善通寺への写俳旅行へご一緒したばかりでした。それが10日も経たぬうちに、病気で倒れられました。思いもかけないことでした。旅行中にお願いしていたこととは言え、まさか・・・・。そんな不自由な体で、渾身の力でぼくのためにお書き下さったであろう原稿をいただきました。
 ぼくはなんて果報者なのでしょうか。それを宝に巻頭を彩り、写真集のページを進めます。
 数多くの人との温かい出会い触れ合いに深く感謝致します。そして数々のシャッターチャンスを与えてくれた皆様にこの写心を捧げます。         2005年10月15日

ページトップへ

※この下部の写真集は、只今準備中につき掲載途中です。  空白の部分には、写真が追加されます。
 ※ 写真をクリックすると拡大表示されます。

第25回 褒状「モトクロス野郎」 土佐山田町 雪が峰牧場 1971年 第25回 入選「鞘師』(父・片木新吾)1971年 第26回 入選「暁の太公望」土佐山田町 戸板島 1972年 「橋が危ない」土佐山田町 神母の木 第26回 入選「夏の苗取り」土佐山田町 予岳寺 1972年
「チャモロ族」グアム島 ペンタックス年鑑掲載 第27回 入選「立ち合い」土佐山田町 役場南 1973年 「石畔のある道」室戸市吉良川 現美展 「裏口」南国市 田村 第29回 褒状「日暮れ時」南国市 前浜 1975年
第30回 褒状「富と貧と(香港)2枚組 1976年 (◀左の写真との2枚組) 「難民荘の夏」高新写真コンクール特選


「職人」高知市(父・片木新吾)
第30回 入選 「枯草の譜」2枚組 高知市 種崎 1976年 (◀左の写真との2枚組) 「誠と聡」土佐山田町 農協跡


第31回 入選「入魂』(父・片木新吾)1977年 「イルデパン島の少年」ニューカレドニア 第32回 入選 「待避所」土佐山田町 繁藤 1978年 第33回 入選 「メトロ憂愁」フランス パリ地下鉄 1979年 「パリ・朝」 第33回 入選「凝視」南国市 田村
「マヨール広場の少女」スペイン マドリード 第34回 褒状「闘犬」土佐山田町 役場前 1980年  第35回 褒状「絵金祭りの夜」土佐山田 八王子宮境内 1981年 第35回 入選「饅頭を売る路地」中国 上海 1981年 昭和57年前期 よみうり写真大賞報道部門2席「中国の笑顔」 第36回 入選「闘犬」土佐山田町 役場前 1982年 第36回 特選「散髪」中国 上海 1982年
第38回 特選「男そして女」2枚組み野市町青少年センター (◀左の写真との2枚組)1984年 第37回 推薦「白日夢」南国市 前浜 1983年 第39回 推薦 「涙と髭と」2枚組 中国 石河子 1985年 (◀左の写真との2枚組) 第40回 特選「ヤッター!」土佐山田町 片地小学校 1986年
第41回『「兄貴」ーびわこ学園の記録よりー』大津市 1987年 第42回『哀調―よさこいレゲエよりー』高知城公園 1988年 第43回『静かな朝にー印度視考よりー』インド デリー1989年 第44回「小さな獲物」赤岡町 どろめ祭り 1990年 第45回「聖水に酔う(カルカッタ)」インド 1991年 第46回「聖者の一食」インド カジュラホ 1992年 第47回『聖眸―カトマンズの火葬場にて―』ネパール1993年
「目玉寺巡礼」ネパール 第48回「母の祈り」スリランカ 1994年 第49回『「遠島 近島 写心旅」より・ペラヘラ祭りを待つ家族』スリランカ キャンディー 1995年 「フィレンツェの辻絵師」 第50回『「雪」と名付けて』スリランカ ネゴンボ 1996年 「雨やどり」バリ島 第7回日本写真作家協会展出品 第51回『心をひとつに(能「吉野夫人」より)』県立美術館ホール 1997年
「象使い」スリランカ 第8回日本写真作家協会展出品 第52回『青春プロローグーよさこい祭りより』高知市 中央公園前 1998年 第53回『フレッシュアーティスト IKU&KAYOKO』2枚組 高知市ファウスト1999 第54回『嗚呼、大山(植田正治写真美術館にて1955年9月)』鳥取県岸本町2000年 第55回『挽歌=印度・大沐浴祭(クンブメラ)にて』インド アラハバード2001年 第56回「ある家族の肖像」2枚組 インド ベナレス 2002年 第57回『愛しきものへのオマージュ』2枚組 インド ムンバイ 2003年
第58回「托鉢の朝」ラオス ヴィエンチャン 2004年 「愛しき子たちの村」インド ムンバイ 第15回日本写真作家協会展出品2004年 第59回      「祈りは深く」インド 第60回     「厳かな仮粧」インド 第61回「訣別・新天地へ」インド 第62回「印度・この空の下」 第63回「穏やかな日々に」インド
第64回「母の祈り、子の願い」エチオピア 第65回     「駱駝と商人」インド 第66回「聖地・ガンガの畔」